取材や撮影でいろんな業種業態のお客様とお話しすることがあるのですが、中身は違えど同じように「人の問題」で悩まれている経営者は多いようです。表立って見える悩みとしては、採用・離職防止という形になることが多いようですが、本質としては経営者とスタッフの関わり方・距離感のような気がします。
距離が近いほうがいい、距離があったがほうがいい、という単純な問題ではなく、お互いにほどよい距離感を保ちたいと思っている場合は、それはそれで成立していると思います。問題が起こるのは、経営者が距離を近くしたいと思い、スタッフがそう思ってない場合です。なので、気持ちが優しい経営者ほど苦しんでおられる気がします。「つべこべ言わずに働けー!」というタイプの経営者の方がむしろストレスは少ないかもしれません。
とてもお世話になった先輩社長には「社長(上司)はホストになれ」と教わりました。「誰よりも早く出社してスタッフが仕事をする環境を整える」「会社の飲み会では社長は座ってる時間はない、全社員の席を回って声をかける」「仕事を通してスタッフが成長を実感できるように社長が一番勉強して先頭を走り続ける」「「会社に来たらお得」を体験させる(お菓子配ったり、子育てに役立つ情報を提供する)」「褒めるときはみんなの前で、叱るときには個別に」など、たくさんマイルールがありました。ただそれとセットで「超えてはいけない一線だけははっきりさせる、超えてないなら全部許す。でももし超えたら一切の妥協なく激怒する」というものもあり、まるで親子のようだなと感じたことを覚えています。
経営者目線だと「大変な時代になったなー」と思わるかもしれませんが、一方でスタッフ目線だと、履歴書書いて面接して新しい環境で仕事をして人間関係をつくっていく、というのはなかなかのストレスですので「なるべく心地いい環境で長く働きたい」と思うのが普通です。
心の底ではお互いに「長く一緒に仕事をしたい」と思っているはずなので、まずは経営者がその努力の一歩目を踏み出すといいのかもしれませんね。以上自分へのメッセージでした。
株式会社フロンティアゲート 吉武和英