代表インタビュー「広告ではなく人が集まる仕組みにお金をつかいたい」

スタッフインタビュー

吉武和英さんが代表取締役を務める株式会社フロンティアゲートは広告代理、キーワード広告の運用代行、コンサルティングといった業務の請負から事業がスタートしました。しかし今ではオウンドメディア構築支援に商品設計、事業サポートまで請け負う範囲の幅は広がり、また制度や仕組みの改革など、奥深くにある事業の本質にまでサポートの手を伸ばしています。

またフロンティアゲートでは現在働くママさんを中心に採用しており、子育てに支障のない就業時間の設定、社内の制度改革もおこなっています。「就業時間に余裕を持たせるだけで、優秀な人と働ける」と吉武さんは本インタビュー中に断言していました。

このインタビューでは広告代理の請負から、商品設計などにまで範囲が広がった理由、そして事業サポートをおこなうにあたって本質的に必要なこと、またママさん採用を始めた理由について詳しく教えていただきました。

広告を打つ前にお客さんの会社・お店の仕組みや制度を確認します

片倉夏実
片倉夏実

フロンティアゲートは最初キーワード広告の運用代行、広告代理などから事業がはじまっていますが、今は商品設計や事業サポートにまで業務範囲が広がっています。それはなぜでしょうか?

吉武和英(以下敬称略):それは仕事をしているうちに得た経験からです。たとえば今自分の会社に10万円使うとしたら、「広告」ではなく「応募したくなる制度」をつくります。職場を綺麗にしたり、家賃の高い駅近のオフィスに移動したり…。

そういえば今度オフィスを移転します(注:2018年10月に移転済み)。賃料は上がりますがしっかりしたオフィスビルで共有スペースも充実しているのでGOサインです。まだまだですが一歩ずつステージをあげて環境を整備していきます。

もちろん広告・宣伝を否定しているわけではありませんが、会社の制度が整っていれば自然と人は集まってきます。それに人材採用のために広告を打ちつづけることは、時に消耗戦になってしまうことを知りました。

たとえばレストランであればそのお店が持っているお金は広告ではなく、食材にかけた方がいいと思います。広告を一切打たないといった、宣伝活動をやめるわけではないです。ただ広告よりも重視した方がいいものがあると今は感じています。

僕がすごく好きなくず餅屋さんがあります。そのくず餅屋さんはネットショップを作らずにブログにフリーのメールフォームを作っただけで、月100万円売り上げを出すことができました。そしてこういった状態が、本来の事業のあるべき姿だと思うんです。

片倉夏実
片倉夏実

吉武さんはホームページ制作のお手伝いだけではなく、事業内容や制度へのアドバイスもされているんですよね?

吉武:はい、最近では商品設計のお手伝いもやっています。また集客のために広告を打ちたいと依頼があっても、すぐには打たないです。

たとえば歯医者さんの矯正・インプラントなどの集客目的で広告を打ちたいと依頼があった時、「このホームページで人呼んで大丈夫?」と、最初に入念に確認します。

ホームページに集客した人たちがインプラントの仕組みを理解できる構成になっているか、来訪者の疑問・質問が解消できる情報が載っているのか、つまり必要な情報がちゃんと載っているのか必ず事前に確認します。なぜなら載っていないことが多いからなんです。広告で集客したお客さんが理解、満足できる内容が記載されていなければ意味がありません。

今僕が請け負っているあるローカルメディアの場合、目的は地元の食べ物や観光スポットなどをレポートすることではなく、そのサイトを通して「ファン」をつくることです。

無闇に広告を打つのではなく、コツコツとファンをつくることが大切です。ファンができれば勧める商品が自然と売れるし、メディアの運営で収益を上げることもできます。だからファンをつくるためにはどんな内容が良いのか、一緒に相談して制作しています。

このように仕事を請け負っていくうちに、広告を打つよりもその職場の仕組みや制度、またホームページで発信する内容など、「中身」を充実させる事業サポートをおこなうようになりました。最初はとにかくキーワード広告を打つ!だったのですが(笑)

なぜ変わったかというと、おそらく今一緒に仕事をしているお客さんみんなが好きだから。事業をはじめたばかりの頃は、お客さんに対して好きや嫌いといった感情はありませんでした。なので広告を打って一時的な集客を成功させ、その時点で仕事は終了していました。

けれど今は違います。広告を打つタイミング、ホームページの構造など多くのことをお客さんと一緒に0から考えています。僕にとってお客さんはもう親戚みたいなものなんです。最近ではお客さんに「俺の貯金額いくらだっけ?」と聞かれたりもします。僕が分かるはずないのに(笑)。

片倉夏実
片倉夏実

お客さんと「仕事」という枠を超えた信頼関係を築かれているんですね。

これからはお客さんの満足度を徹底的に高めたい

片倉夏実
片倉夏実

私と知り合ったのはG’s ACADEMY(=社会人向けプログラミングスクール)がきっかけですが、吉武さんがこのプログラミングスクールに入学された目的は、今後の事業のためでしょうか?

吉武:いいえ、動機は単純で、プログラミングができるようになりたかったからです。なぜなら自分が請け負っているお客さんの中でも、エンジニアまでは行かなくてもプログラミングスキルのある人を求めている人がとても多かったんです。

自分がプログラミングスキルを習得すれば、もっと提案できるものの幅が広がると思ったし、エンジニアさんを雇う時に備えて明確に指示をだすことができると思いました。

こういった自分のプログラミング学習とも繋がりますが、これからは今よりもっとお客さんの満足度を高めたいんです。たとえ自分のことが嫌いでも、弊社の商品を使わざるをえないくらいまで商品価値を上げたいんです。

今は正直なところ、まだまだ僕が築いたお客さんとの信頼関係で仕事が成立していることもあります。けれどこれからは僕以上に、制作した商品が愛されるように成長させたい。そのためにはガンガン稼いで、優秀なママさんをもっと採用したいんです。

就業時間をフレキシブルにすれば優秀な人を採用できます。

片倉夏実
片倉夏実

今の職場の雰囲気はどのような感じなんですか?

吉武:職場に半分以上僕はいないのですが、みんな淡々と仕事しています。今働いている人は二人で、両方ともママさんです。一人は16時までで、もう一人は15時まで働いてもらっています。

片倉夏実
片倉夏実

勤務時間は相談して決められているのでしょうか。

吉武:相談というか、言い値ですね。何時がいいですか?と直接聞いています(笑)。就業時間は採用する段階で決めていますよ。

片倉夏実
片倉夏実

最初からママさん採用に力を入れていたのでしょうか。

吉武:いえ、最初からではなくたまたまです。けれど一つのきっかけとして、自分の娘が生まれたことがあります。娘が生まれてから実質仕事を辞めざるを得ないくらい奥さんが忙しい状態になってしまい、キャリアを築くことが難しくなってしまったんです。

そして一緒に働きはじめるとやっぱり優秀な人で、「あ、こういう人をもっと採用したい。」と思い、ママさんを採用しやすい今の条件になりました。

これをきっかけに、自分のビジネスモデルを変えた方がいいことに気付きました。今はハローワークでしか人を募集していませんが、応募してくる人がたくさんいます。勤務時間を10時から16時にしただけでたくさんのママさんが応募してくれるんです。これから幼稚園に通うお子様をお持ちのママ向けに午前中だけとかのシフトも用意したいと思っています。

そして弊社がビジネスモデルを変えた経験から、お客さんの事業サポートや制度改革に繋がっているところもあります。

そして今の目標は必要以上に人を採用することです。なぜなら人員に余裕があると、優秀な人がどんどん制作物のクオリティを上げることに時間をかけられるようになるからです。また優秀な人は基本的に就業時間内、暇な時間をつくらずにずっと働かせることを自分に課します。なので人が増えることで生産性が落ちるということもありません。

それをみていて非常にもったいないなと感じました。そしてこういった境遇の人は多いのかな、とその時思いハローワークに「勤務時間は自由」、「子連れ可」という条件で求人を出しました。そしてこの条件で採用したのが、今働いてもらっている人のうちの一人です。

お金は自分にではなく、子供の教育費にめちゃくちゃ使いたい。

片倉夏実
片倉夏実

ママさん採用を重視している吉武さんですが、吉武さんにもお二人娘さんがいますよね?

吉武:はい、娘は本当に可愛いです。今はぜんぜん自分のためにお金を使いたい欲求がないのですが、子供の教育費にはがんがん使いたいんです。子供が生まれてから、自分の欲求は完全に満たされてしまいましたね。

家事などは奥さんにしてもらっていますが、子供に関わる作業はできるだけやりたいと思っています。子供たちが寝ている時間にも仕事はできるので、子供たちが起きている間はなんとか一緒に過ごす時間を取りたいです。

いつか誰かに言われたんですけれど、「お前、子供のためにやっているって思っているかもしれないけれど、本当は自分のためだよ。」って。それを聞いて、ああそうかもと思いました。

片倉夏実
片倉夏実

すごい分かります…!自分が誰かに提供したいものは、自分が欲しかったものなんですよね。

吉武:共感してもらえて良かったです(笑)。本当に今は子供と一緒に時間を過ごすこと以上に満たされることはないです。自分の子供が楽しんでくれていること以上に満たされることがないから、今はそれ以外に時間とお金はあまり使わないですね。もちろん仕事は別ですよ。

終わりに

吉武さんはお会いする時、いつもにこにこと絶え間なく笑っている人で、おそらくこの笑顔でお客さんと接し、親戚のような親密な信頼関係を築かれているんだろうな、とその笑顔を見るたびに感じていました。

ご自身に新しい家族ができた経験からママさん採用という事業の制度改革になり、またそこから集客のために広告を打つ業務だけではなく、事業の中身を充実させるサポートを請け負うことにまで繋がっていきます。

本当の意味でお客さんやママさんにフロンティアゲートの事業を通して提供できるものは何か。その問いに真摯に向き合う、吉武さんの優しくて愛嬌のある人柄が伝わってきたインタビューでした。

インタビュアー 片倉夏実

(注:インタビュー内容は2018年6月時点の内容となっています。)

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